はじめに
韓国語で日記を書いていると、過去の出来事を表す言葉でも、使い方の違いが気になることがあります。
私が今回気になったのは、–던と–았/었던 という表現です。
きっかけになったのは、ハングル日記で使っている次の言葉でした。
그날 가장 좋았던 일
(その日、一番よかったこと)
この 좋았던 を見て、過去のことを表す –던 と –았/었던 には、どのような違いがあるのだろうと思いました。
どちらも過去の出来事や様子を振り返るときに使われますが、同じ意味として覚えてよいのか、よく分かりませんでした。
調べてみると、–던 は過去に続いていた行動や当時の様子を振り返るときに使われ、–았/었던 は過去に起きた出来事や経験を、現在から振り返るときによく使われることが分かりました。
ただし、二つの表現は単純に「途中だったこと」と「終わったこと」だけで区別できるわけではありません。
今回は、日記で使っている 좋았던 をきっかけに、–던と–았/었던の意味や使い方の違いを、例文を比べながら整理してみたいと思います。
–던の意味と使い方
–던 は、過去の出来事や状態を思い出して話すときに使う表現です。
動詞や形容詞の語幹に付いて、後ろに続く名詞を説明します。
例えば、次のような文章です。
제가 읽던 책이에요.
(私が読んでいた本です)
ここで使われている 읽던 は、읽다(読む)に–던が付いた形です。
過去に本を読んでいたことを振り返る表現で、その本を最後まで読み終えたかどうかは、この文章だけでは分かりません。
過去に続いていた行動を振り返る
–던は、過去のある時点で続いていた行動を思い出すときに使われます。
어제 먹던 빵이에요.
(昨日食べていたパンです)
この文章では、昨日パンを食べていた場面を振り返っています。
먹던 は「食べていた」という意味で、食べるという行動の途中の様子に目を向けた表現です。
そのため、食べ終わったかどうかを伝えることが中心ではありません。
過去に繰り返していた習慣を振り返る
–던は、一度だけの出来事ではなく、以前よくしていた行動を思い出すときにも使えます。
어릴 때 자주 가던 공원이에요.
(子どもの頃、よく行っていた公園です)
この文章では、子どもの頃に何度も公園へ行っていたことを振り返っています。
가던 は、過去に繰り返していた行動を表しています。
このように、–던には、過去のある場面で続いていた行動だけでなく、以前の習慣を思い出す働きもあります。
また、動詞だけでなく、形容詞にも使われます。
예쁘던 꽃이 시들었어요.
(きれいだった花がしおれました)
ここでは、以前きれいだった花の様子を振り返っています。
–던は、過去の行動や状態を、当時の様子を思い浮かべながら表現できる文法です。
–았/었던の意味と使い方
–았/었던 は、過去の出来事や経験、当時の状態を振り返るときに使う表現です。
動詞や形容詞の語幹に –았던・–었던 が付き、後ろに続く名詞を説明します。
–았던・–었던 は、前に来る語幹の母音などによって形が変わります。
例えば、가다(行く)は 갔던、먹다(食べる)は 먹었던 となります。
また、하다(する)の場合は 했던 という形になります。
例えば、次のような文章です。
제가 읽었던 책이에요.
(私が以前読んだ本です)
읽었던 は、읽다(読む)に–었던が付いた形です。
前の見出しで紹介した 읽던 책 が「読んでいた本」という過去の行動に目を向けるのに対し、읽었던 책 は「以前読んだ本」という過去の経験を振り返る表現です。
ただし、읽었던だけで、必ず最後まで読み終えたと断定できるわけではありません。
過去の出来事を振り返る
–았/었던は、過去に起きた出来事を、現在から振り返るときによく使われます。
작년에 갔던 여행지가 생각나요.
(去年行った旅行先を思い出します)
ここで使われている 갔던 は、가다(行く)に–았던が付いた形です。
以前訪れた場所を、過去の経験として思い出しています。
–던が当時の行動や様子に目を向けやすいのに対し、–았/었던は、過去に経験した出来事として振り返るニュアンスがあります。
日記で使っている좋았던
今回の記事を書くきっかけになったのが、次の表現です。
그날 가장 좋았던 일
(その日、一番よかったこと)
좋았던 は、좋다(よい)の語幹 좋- に –았던 が付いた形です。
좋다は「よい」という意味の形容詞ですが、좋았던となることで、過去のある時点でよかったことを振り返る表現になります。
ここでは、その日にあった出来事を振り返り、「一番よかったこと」として表しています。
また、次のような表現もできます。
어제 가장 즐거웠던 시간
(昨日、一番楽しかった時間)
즐거웠던 は、즐겁다(楽しい)が変化した形です。
즐겁다はㅂ変則活用をする形容詞です。
語幹の즐겁-に母音で始まる語尾が付くと、語幹末のㅂが変化します。過去形の즐거웠다と同じように、즐거웠던という形になります。
この表現では、過去のある時点で楽しかったことを振り返っています。
形容詞の場合、–았/었던は、過去のある時点でそうだった状態を振り返るときにも使われます。
このように、–았/었던は、過去の出来事だけでなく、以前の気持ちや状態を思い出すときにも役立つ表現です。
–던と–았/었던はどう違う?
–던と–았/었던は、どちらも過去を振り返る表現ですが、注目するところに違いがあります。
–던は過去の行動の途中や、繰り返していた習慣に目を向ける表現です。
一方、–았/었던は過去の出来事や経験を、振り返って表すときによく使われます。
同じ動詞を使った例文で比べてみましょう。
읽던 책と읽었던 책の違い
제가 읽던 책이에요.
(私が読んでいた本です)
제가 읽었던 책이에요.
(私が以前読んだ本です)
읽던 책は、以前その本を読んでいた様子に目を向けた表現です。
例えば、途中まで読んでいた本を見つけて、「これ、私が読んでいた本だ」と言う場面で使えます。
一方、읽었던 책は、以前その本を読んだ経験を振り返る表現です。
例えば、昔読んだことのある本を見つけて、「これ、前に読んだ本だ」と言う場面に合います。
ただし、읽었던だけで、その本を最後まで読み終えたと断定することはできません。
가던 곳と갔던 곳の違い
次は、가다(行く)を使った表現です。
어릴 때 자주 가던 곳이에요.
(子どもの頃、よく行っていた場所です)
작년에 갔던 곳이에요.
(去年行った場所です)
자주 가던 곳は、以前何度も通っていた場所を思い出す表現です。
一方、갔던 곳は、過去に訪れた場所を振り返る表現です。
ここで注意したいのは、–던が付くから必ず繰り返し、–았/었던が付くから必ず一度きり、というわけではないことです。
どちらも過去を振り返りますが、前者は当時の習慣、後者は訪れた経験に注目しています。
좋던と좋았던の違い
最後に、今回の日記にも関係する좋다(よい)を比べてみます。
사이가 좋던 친구와 멀어졌어요.
(仲のよかった友達と疎遠になりました)
사이가 좋았던 친구와 다시 만났어요.
(以前仲のよかった友達と再会しました)
좋던は、以前仲がよかった当時の状態を振り返っています。
一方、좋았던は、過去に仲がよかったという状態を、現在から振り返る表現です。
このように、形容詞の場合も二つの表現には意味が重なる部分がありますが、過去の状態をどのように振り返るかによってニュアンスが変わります。
そのため、日記の 그날 가장 좋았던 일 では、その日に起きた出来事を振り返って「一番よかったこと」と表す 좋았던が自然です。
このように、二つの表現を使い分けるときは、過去の行動や状態をどのような視点から振り返っているのかを考えることが大切です。
韓国語の日記で使ってみたい表現
–던と–았/었던の違いを知ると、過去の出来事を振り返る日記にも使ってみたくなります。
今回は、日常の場面を思い浮かべながら、三つの例文を考えてみました。
以前よく食べていた料理
예전에 자주 먹던 음식이 생각났다.
(以前よく食べていた料理を思い出した)
먹던 は、먹다(食べる)に–던が付いた形です。
ここでは、以前繰り返していた食習慣を振り返っています。
자주(よく、頻繁に)という言葉と一緒に使うことで、何度も食べていたことが分かりやすくなります。
また、생각났다 は、생각나다(思い出す)の過去形です。
日記で昔の習慣を振り返りたいときに使える表現です。
昨日一番うれしかったこと
어제 가장 기뻤던 일은 친구에게 연락이 온 것이다.
(昨日一番うれしかったことは、友達から連絡が来たことだ)
기뻤던 は、기쁘다(うれしい)が変化した形です。
기쁘다は、活用するときに語幹のㅡが脱落することがあります。過去形の기뻤다と同じように、기뻤던という形になります。
ここでは、過去のある出来事について、そのときの気持ちを振り返っています。
また、연락이 온 것이다 は「連絡が来たことだ」という意味です。
ここでは、오다(来る)が온という形になり、것이다と組み合わさって、うれしかった出来事の内容を説明しています。
普段の日記で使っている 그날 가장 좋았던 일 と同じように、過去の気持ちを表すときに使えます。
昔住んでいた町を思い出した
예전에 살았던 동네가 생각났다.
(以前住んでいた町を思い出した)
살았던 は、살다(住む)に–았던が付いた形です。
以前そこに住んでいたという経験を、現在から振り返っています。
ちなみに、살던 동네(住んでいた町)という言い方もできます。
살던は、当時そこで暮らしていた様子に目を向けた表現で、살았던は、以前そこに住んでいたという過去の経験を振り返る表現です。
同じ「住んでいた町」という日本語訳でも、少し異なる視点から過去を表すことができます。
このように、–던と–았/었던を使うと、単に過去の出来事を説明するだけでなく、昔の習慣や当時の気持ちも日記に書けるようになります。
日記を書いて気づいたこと
今回、–던と–았/었던の違いを調べるきっかけになったのは、日記で使っている 그날 가장 좋았던 일 という表現でした。
これまでは「その日、一番よかったこと」という意味で使っていましたが、좋았던という形に注目したことで、過去を振り返る韓国語の表現について考えるようになりました。
調べてみると、–던と–았/었던は、どちらも過去のことを表すものの、何に注目して振り返るのかによってニュアンスが変わることが分かりました。
特に印象に残ったのは、日本語では同じ「~していた」と訳せる表現でも、韓国語では異なる形を使うことがあるという点です。
また、–았/었던を使ったからといって、必ずしも動作が最後まで完了したことを意味するわけではないことも、今回整理できた点の一つです。
日記では、その日に起きた出来事だけでなく、以前の習慣や思い出について書くこともあります。
これからは、過去の出来事をどのように振り返りたいのかを考えながら、–던と–았/었던を少しずつ使ってみたいと思います。
まとめ
今回は、韓国語の日記で使っている 그날 가장 좋았던 일 という表現をきっかけに、–던と–았/었던の違いを整理しました。
–던 は、過去に続いていた行動や繰り返していた習慣、当時の状態を振り返るときに使います。
一方、–았/었던 は、過去に起きた出来事や経験、以前の状態を振り返るときによく使われます。
例えば、읽던 책 は「読んでいた本」、읽었던 책 は「以前読んだ本」という意味です。
ただし、二つの表現は「途中だったこと」と「終わったこと」だけで区別できるわけではありません。
大切なのは、過去の行動や状態を、どのような視点から振り返っているのかを考えることです。
今回学んだ違いを意識しながら、これからの日記でも少しずつ使い分けていきたいと思います。

