育てて活ける!いけばなに使える草花の寄せ植えガイド|季節・活用・保存術まで

育てて楽しむ いけばな植物

はじめに|寄せ植えは“育てる+活ける”の宝箱

いけばなを日常に取り入れたいと思ったとき、ふと悩むのが「花材をどう揃えるか」ということ。そんなとき、私が頼りにしているのが「草花の寄せ植え」です。

寄せ植えは、複数の植物をひとつの鉢やプランターで育てるスタイル。草丈・葉の形・花色などが自然に混ざり合い、育てるだけで美しい“素材の箱庭”が完成します。

この記事では、寄せ植えからいけばなに展開する楽しみ方を、私自身の体験も交えながらご紹介します。


    1. はじめに|寄せ植えは“育てる+活ける”の宝箱
  1. 寄せ植えの魅力とは?
    1. 育てながら“使いどき”を見極められる
    2. 少ないスペースで多彩な植物を楽しめる
    3. 自然な組み合わせが、そのまま“作品”になる
  2. いけばな向き「草花寄せ植え」おすすめの組み合わせ
  3. 育て方のポイント|寄せ植えだからこその工夫
    1. 1. 同じ環境で育つ植物を組み合わせる
    2. 2. 間引きと剪定を活ける練習に活かす
    3. 3. 季節ごとに一部を入れ替える
  4. いけばなに展開するときのコツ
    1. 寄せ植えの「配置」をヒントに構成を考える
    2. 切り取る位置は、バランスより“表情”重視で
    3. 残した鉢も“次の育成”に生かせる
  5. 寄せ植えスタイル別|いけばなに活かしやすいレイアウトとは?
    1. 1. 放射型レイアウト(ドーム型)
    2. 2. リズム型レイアウト(非対称・動きあり)
    3. 3. 密集型レイアウト(モコモコ系)
    4. 4. ナチュラル型レイアウト(自然風)
  6. 実録レポート|私の寄せ植え→いけばな活用例3選
    1. 【🌸春】ナデシコ+アイビー+ローズマリーの寄せ植え
    2. 【☀夏】ペチュニア+コリウス+ミントの寄せ植え
    3. 【🍁秋】フジバカマ+タイム+アジュガの寄せ植え
  7. 一年中楽しむ寄せ植え×いけばな|季節別おすすめプラン
    1. 🌸 春|芽吹きと華やかさを楽しむ寄せ植え
    2. ☀ 夏|色と動きで魅せる寄せ植え
    3. 🍁 秋|深みのある色と質感を楽しむ寄せ植え
    4. ❄ 冬|静けさと強さを感じる寄せ植え
  8. 寄せ植えで育てた植物を長く楽しむ保存術
    1. 1. ドライ化して“もう一度活ける”
    2. 2. 挿し芽や株分けで“育て直す”
    3. 3. 水耕栽培やミニ鉢で再利用
  9. いけばな教室でも活用できる!寄せ植え育成のすすめ
    1. 教室で寄せ植えを育てるメリットとは?
      1. 1. 花材の準備がラクになる
      2. 2. 育てる過程も学びにつながる
      3. 3. 生徒同士の交流やイベントにも
    2. 教室での取り入れ方アイデア
    3. 教室で育てて活けるメリットとは?
  10. よくある質問Q&A|寄せ植え×いけばな初心者にも安心!
  11. まとめ|「育てる+活ける」のよろこびを一鉢から

寄せ植えの魅力とは?

育てながら“使いどき”を見極められる

寄せ植えの良さは、日々の変化を身近に感じられること。つぼみが膨らんできた、草丈が伸びてきた――そんな瞬間に、「今が活けどきだな」と気づくことができます。

少ないスペースで多彩な植物を楽しめる

庭がなくても、ベランダや玄関先に一鉢あればOK。鉢ひとつで3~5種の植物を楽しめるのも魅力です。

自然な組み合わせが、そのまま“作品”になる

寄せ植えの配置は、いけばなの構成にも活かせます。高低差や色のバランスを意識して育てれば、切り取るだけで自然な作品構成が整います。


いけばな向き「草花寄せ植え」おすすめの組み合わせ

組み合わせ例 特徴 季節
ナデシコ+アイビー+ローズマリー 花・葉・香りのバランス◎ 春〜初夏
ミヤコワスレ+リュウノヒゲ+ヒメツルソバ 和風・やわらかい印象 初夏〜秋
フジバカマ+タイム+アジュガ すっと立つ線+低く広がる足元
ツワブキ+ヤブラン+ユリオプスデージー 葉の形と色の変化で魅せる 秋〜冬

育て方のポイント|寄せ植えだからこその工夫

1. 同じ環境で育つ植物を組み合わせる

  • 日照条件(水が好きな植物×乾燥に強い植物などは避ける)

  • 草丈・生長スピードをそろえると管理が楽

2. 間引きと剪定を活ける練習に活かす

  • 生長して混み合ってきたら、切り戻し=いけばなの花材収穫と捉えて活用

  • 小さな一枝でも「副枝・添え枝」に使える

3. 季節ごとに一部を入れ替える

  • 一年草と多年草を組み合わせておくと、花が終わっても入れ替えが簡単

  • たとえば、春にパンジー→初夏にペチュニアなど


いけばなに展開するときのコツ

寄せ植えの「配置」をヒントに構成を考える

  • 高い植物を主枝に、低い植物を足元に

  • アイビーやリュウノヒゲの“動き”を流れとして活かす

切り取る位置は、バランスより“表情”重視で

  • 長さにとらわれず、「この一枝、表情があるな」と思う部分を選ぶ

  • 茎の曲がりや葉の向きもいけばなの見どころに

残した鉢も“次の育成”に生かせる

  • 使わなかった部分も育ち続けるので、また次回の花材候補に

  • いけばなと園芸の循環が自然に生まれる

寄せ植えスタイル別|いけばなに活かしやすいレイアウトとは?

寄せ植えといえば「彩りがきれい」「形がまとまっている」といった見た目の印象が重視されがちですが、いけばなに活かす場合には、**構成(レイアウト)**が大きなカギになります。

ここでは、寄せ植えの主なレイアウトを4つに分類し、それぞれがいけばなにどう活かせるかをご紹介します。

1. 放射型レイアウト(ドーム型)

鉢の中心に背の高い植物を植え、外側に向かって低い草花を放射状に配置するスタイル。よく市販の寄せ植えにも見られる基本形です。

いけばなでの活用:

  • 中央の高い植物が「主枝」、外側の草が「副枝」や「添え枝」として使える

  • 自然な高低差がすでに作られており、切り取るだけで構成しやすい

例: サルビア+アリッサム+アイビーの組み合わせ


2. リズム型レイアウト(非対称・動きあり)

草丈や葉の広がりをあえてアンバランスに配置し、躍動感や自然な動きを楽しむスタイル。草花の個性を活かすのに適しています。

いけばなでの活用:

  • 茎の曲がりや斜めの成長がそのまま“動き”となって生かせる

  • 一見不揃いな形こそ、いけばな向き

例: ガウラ+カレックス+ハーブ類などの組み合わせ


3. 密集型レイアウト(モコモコ系)

高さや広がりよりも「密度」重視でぎっしり詰めて植えたスタイル。見た目は華やかで人気ですが、いけばなへの活用には工夫が必要です。

いけばなでの活用:

  • 草花の間引き・切り戻しの際に、形の良い部分だけ選ぶのがコツ

  • “群生の一枝”として、ミニマムに活けるスタイルに向く

例: パンジー+アリッサム+ヒューケラの冬〜春寄せ植え


4. ナチュラル型レイアウト(自然風)

草丈や配置にあえて手を加えすぎず、植物の“なりゆき”に任せた自然風レイアウト。野草や宿根草と相性がよく、管理もしやすい。

いけばなでの活用:

  • ありのままの姿を生かすことで、表情豊かな作品に

  • 自然な曲がり・伸び方が魅力になり、剪定の手間も少ない

例: フジバカマ+アジュガ+ワイヤープランツの秋〜初冬寄せ植え


寄せ植えのレイアウトを意識することで、「どの部分をどのように活けるか」のヒントが自然と見えてきます。いけばなを意識して寄せ植えを作れば、育てながら構成をシミュレーションできるようになり、作品づくりがよりスムーズになります。


実録レポート|私の寄せ植え→いけばな活用例3選

ここでは、私が実際に育てて活けた「寄せ植え→いけばな」活用例を3つご紹介します。鉢植えからどんな植物を選び、どのように活けたかを具体的にお見せすることで、みなさんの参考になれば幸いです。


【🌸春】ナデシコ+アイビー+ローズマリーの寄せ植え

レイアウト: 放射型
いけばなで使った花材:

  • ナデシコの1本(控え枝)

  • アイビーの長く伸びた枝(副枝)

  • ローズマリーの直立茎(主枝)

活け方のポイント:
アイビーの伸び方に動きがあり、全体の“流れ”を決める構成要素になりました。香りのあるローズマリーが主軸になり、ナデシコが軽やかな添えに。

感想:
切り取った後も鉢はそのまま育ち続けるので、週ごとに少しずつ違う枝を使えるのが便利でした。


【☀夏】ペチュニア+コリウス+ミントの寄せ植え

レイアウト: リズム型
いけばなで使った花材:

  • ペチュニアの咲き始めの枝(主枝)

  • ミントの小枝(添え枝)

活け方のポイント:
ミントはあえて花をつける前に切り、葉の香りを活かして活けました。ペチュニアは咲きかけの柔らかな曲線を主役に据え、コリウスは残して次回用に。

感想:
ミントを活けると、ふとした瞬間に香りが漂って心がほどけるような感覚に。作品全体に“見えない気配”が加わった気がします。


【🍁秋】フジバカマ+タイム+アジュガの寄せ植え

レイアウト: ナチュラル型
いけばなで使った花材:

  • フジバカマのしなやかな枝(主枝)

  • タイムの小枝(添え枝)

活け方のポイント:
フジバカマの茎の曲がりと葉のつき方が、非常に表情豊かでそのまま主枝として活用。タイムはほんの一枝でも足元に“香りと余白”を添えてくれました。

感想:
多年草のフジバカマは毎年花材になってくれる“頼れる存在”。秋の作品には欠かせない寄せ植えメンバーです。


これらの体験を通じて感じたのは、「寄せ植えを作ると、いけばなの材料が目の前で育っていく喜びがある」ということ。毎日の水やりが、作品への準備に変わる……そんな感覚を、ぜひみなさんにも味わっていただきたいです。

一年中楽しむ寄せ植え×いけばな|季節別おすすめプラン

寄せ植えは、季節に合わせて花や葉の表情を変えながら、一年を通して楽しめるのが魅力です。そして、その中から旬の素材を切り取っていけばなに活かせば、季節感あふれる作品に仕上がります。

ここでは、春・夏・秋・冬それぞれにおすすめの寄せ植えプランを、実用的な組み合わせとともにご紹介します。


🌸 春|芽吹きと華やかさを楽しむ寄せ植え

おすすめ植物:

  • パンジー(彩り)

  • イベリス(白花で引き締め)

  • カモミール(香り+ナチュラル感)

いけばな活用ポイント:
パンジーはやわらかいラインのある枝を添えに。イベリスの白がアクセントになり、カモミールの香りは控えめながら印象的です。


☀ 夏|色と動きで魅せる寄せ植え

おすすめ植物:

  • ペチュニア(主役の花)

  • コリウス(色葉)

  • ローズマリー(香りと高さ)

いけばな活用ポイント:
コリウスの葉色を花の代わりに主役にすることも。ローズマリーは縦のラインを作るのに便利で、香りも楽しめます。


🍁 秋|深みのある色と質感を楽しむ寄せ植え

おすすめ植物:

  • フジバカマ(秋の風情)

  • リンドウ(青紫の落ち着いた花)

  • トウテイラン(シルバーリーフ)

いけばな活用ポイント:
フジバカマの自然な曲がりが作品の“流れ”をつくります。色を抑えた組み合わせで、落ち着きのある構成に。


❄ 冬|静けさと強さを感じる寄せ植え

おすすめ植物:

  • ツワブキ(常緑のつや葉)

  • ハボタン(冬の彩り)

  • ヤブコウジ(赤い実)

いけばな活用ポイント:
ツワブキの葉のツヤが静寂を、ハボタンが“花のような存在感”を演出。実もののヤブコウジで季節感を強調できます。


こうした季節ごとの寄せ植えをいくつか育てておくことで、切り取るだけで旬の花材が手に入る状態に。1年を通じていけばなを楽しむ、心強い味方になります。


寄せ植えで育てた植物を長く楽しむ保存術

せっかく育てたいけばな用の植物。切って活けたあとも、「もう一度楽しめたらいいのに」と思うことはありませんか?

ここでは、寄せ植えから切り取った植物を長く楽しむための3つの保存・再活用術をご紹介します。


1. ドライ化して“もう一度活ける”

乾燥に強い草花であれば、ドライフラワーとして再利用が可能です。

ドライにしやすい植物例:

  • ローズマリー

  • ラベンダー

  • ユーカリ

  • タイム

  • ミモザ(春限定)

ポイント:

  • 風通しの良い日陰に逆さに吊るして乾燥させる

  • 完全に乾いたら、いけばなやスワッグに再利用

👉 ドライにすることで「枯れゆく美しさ」を楽しめ、長く飾ることができます。


2. 挿し芽や株分けで“育て直す”

多年草や宿根草は、切ったあとに挿し芽や株分けで再生させることができます。

活用できる植物例:

  • アイビー(挿し芽)

  • ミント(挿し芽)

  • ツワブキ(株分け)

  • アジュガ(ランナー)

方法:

  • 切り戻しのタイミングで、元気な枝を水差し・挿し木に

  • 植え替え時に分けた株を新たな寄せ植えに利用

👉 一度育てた植物を“循環的に”楽しめる、いけばな×ガーデニングならではの利点です。


3. 水耕栽培やミニ鉢で再利用

細い枝や根付きのものは、水耕栽培で再生することもできます。

おすすめ植物:

  • バジル

  • ワイヤープランツ

  • リュウノヒゲ

やり方:

  • ガラス容器や空き瓶に水を張って、枝を数日間差しておく

  • 根が出てきたら、再び鉢に植えて育て直し

👉 小さな容器に活けておけば、ミニいけばな風にも楽しめます。


切ったあとも、育てて活けて、また育てて――。寄せ植えは、そんな**“いけばなの循環”**を実現してくれる存在です。上手に保存・再利用しながら、長く植物と付き合っていきましょう。

いけばな教室でも活用できる!寄せ植え育成のすすめ

寄せ植えというと、自宅で楽しむものという印象が強いかもしれませんが、実はいけばな教室やグループ活動にこそ取り入れてほしい魅力があります。

ここでは、いけばな教室で寄せ植えを活用するメリットと、その実践アイデアをご紹介します。


教室で寄せ植えを育てるメリットとは?

1. 花材の準備がラクになる

毎週・毎月の教室で「今日は何の花材にしよう?」と悩むのは、指導側にとっても受講者側にとっても大変なこと。

あらかじめ教室で寄せ植えを数鉢育てておけば、その季節に応じた花材が自然に育ち、すぐ使えるようになります。

  • 切ってそのまま使える

  • 余った枝はまた育て直せる

  • 花材費のコストも削減可能


2. 育てる過程も学びにつながる

いけばなは「切った素材を活ける」芸術ですが、植物がどのように成長し、花をつけ、枯れていくかを知ることで、より深い表現力が生まれます。

寄せ植えを育てることで、

  • 季節ごとの植物の姿を観察できる

  • 茎の伸び方・葉のつき方を自然に学べる

  • “使いどき”の判断力が身につく

という育成視点の学びが得られます。


3. 生徒同士の交流やイベントにも

「みんなで育てる鉢」や「一人一鉢の寄せ植え体験」は、教室の中に共同作業や会話のきっかけを生み出します。

  • 季節ごとの植え替えワークショップ

  • 寄せ植えから活ける「二段階の作品制作」

  • 教室内のコンテストや展示会への発展も可能

実際に、私の知人のいけばな教室では、生徒同士で“推しの寄せ植え”を見せ合いながら、活けた作品を写真に撮って展示するという取り組みを行い、とても盛り上がったそうです。


教室での取り入れ方アイデア

活用シーン 内容
月ごとの「育てる鉢」 季節の草花を寄せ植えし、育ててから活ける
年間テーマ「四季の鉢」 春・夏・秋・冬の寄せ植えをそれぞれ用意し、作品に活用
ミニ講座としての導入 植え方や管理方法を指導時間の一部に組み込む
作品展示の素材に 寄せ植え→いけばな→写真パネルや実物展示へ展開

教室で育てて活けるメリットとは?

いけばな教室で寄せ植えを取り入れることで、植物への理解が深まり、創作の幅も広がります。ただ切って活けるだけでなく、「育てる」という視点をもつことで、作品に込める気持ちや表現の深さが変わってくるのです。

教室全体で、あるいは小さなグループで寄せ植えに取り組んでみることで、いけばなの学びも暮らしも、より立体的で豊かなものになるでしょう。


よくある質問Q&A|寄せ植え×いけばな初心者にも安心!

Q. 土から抜かずにそのまま活けてもいいですか?
A. 基本は切って使いますが、小鉢や小盆栽のように「鉢ごと活ける」手法もあります。苔玉などを応用すると◎。

Q. 寄せ植えの植物が大きくなりすぎたら?
A. 一度植え替えて株分けを。分けたものをいけばなに活用するのもおすすめです。

Q. 寄せ植えのデザインに迷います…
A. まずは「草丈の違う3種」を選ぶとバランスが整いやすいです。色は同系色でまとめるか、アクセントで1色足すのも◎。


まとめ|「育てる+活ける」のよろこびを一鉢から

寄せ植えは、見た目に楽しいだけでなく、いけばなをもっと身近に、もっと自由に楽しめる素敵な方法です。

私自身も、日々の水やりのなかで「この枝、いい曲がりしてきたな」と思うことがよくあり、育てながら“作品の構想”が浮かんでくるのが嬉しい瞬間です。

ぜひみなさんも、自分だけの寄せ植えを作って、そこからいけばなの世界へと広げてみてください。

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